中国レアアース取引所、9月にも取引開始 価格決定の主導権狙う

中国レアアース取引所、9月にも取引開始 価格決定の主導権狙う

中国が世界初のレアアース(希土類)取引所を内モンゴル自治区包頭市に設立し、9月にも取引を開始する。中国政府は、レアアースの生産能力を2割削減する方針を打ち出している。外交カードでもあるレアアースで、価格形成でも国際的な主導権を握る狙いがある。

レアアースは、中国が世界市場の9割超を供給する独占市場だが、密輸業者や中小業者が安値競争を展開し、国際価格の形成メカニズムが構築されていない。

取引所は、レアアースの主要産地である内モンゴル自治区に、国内の大手業者10社が10%ずつ出資し、資本金1億元(約12億4千万円)で設立。原油など他の資源と同様に取引システムを構築することで、「価格が乱高下しないように市場を安定させる」(業界関係者)一方、「価格が下がらないように操作する狙いがある」(同)という。

中国政府は取引所の設立に先駆け、レアアース業者に対して生産規模の下限を設け、一定量の生産ができない中小業者を淘(とう)汰(た)する新たな政策を公表した。この結果、国内の生産能力は2割削減される見通し。併せて、レアアースを戦略資源に位置付け、輸出規制などの管理を強めている。

中国は、2010年に尖閣諸島をめぐる日中対立が激化すると、輸出を一方的に中断するなどレアアースを外交カードとして利用してきた。だが、日米欧が世界貿易機関(WTO)に中国の輸出規制措置問題を提訴し、来年には判断が下される。中国はWTOで敗退した場合でも、取引所を通じて、レアアースの国際市場への影響力を維持しておきたい考えだ。

中国では、国内のハイテク産業の需要増に伴い、レアアース産出量に占める国内消費量の割合が、10年前の約25%から現在は約65%まで拡大し、輸出余力自体が低下している。

業界関係者は、「早ければ14年にも、中国がレアアースの輸入国に転じる可能性がある」と指摘。日米欧は、レアアースの中国依存度を引き下げる必要に迫られている。

〈レアアース(希土類)〉

電気自動車(EV)やスマートフォン(高機能携帯電話)、エアコンなどに使われるレアメタル(希少金属)の一種。磁力を強くするネオジム、耐熱性を高めるジスプロシウムなどがある。世界生産量の大半を中国が占めている。                                                   YAHOOニュース より抜粋