レアアースは中国にとって武器なのか…それともビジネスなのか?―中国報道

レアアースは中国にとって武器なのか…それともビジネスなのか?―中国報道

中日間の「レアアース」問題をどのように理解すればよいか。レアアースは「相手をけん制する武器」なのか、それとも「ビジネス」なのか。同花順網が伝えた。

「人民日報」は2010年、「中国のレアアース産業は1950年代に始まり、中国はすでに世界一のレアアース資源国、生産国、輸出国になっており、比較的強い国際競争力をもち、レアアース産業は中国有数の有力産業のひとつになっている」と、中国のレアアース産業を評価した。

確かに、市場シェアでは、中国は世界の約90%のレアアース供給を実現しており、大半を精密工業の進んだ日本に供給してきた。08年の中国レアアース鉱輸出は13万9000トンと、世界全体の97%を占めた。だが、こうした局面になったのは、中国が格安でレアアースを供給したこと、地政学的に世界一のレアアース消費市場、日本に近いということがいえる。

事実、米国、フランス、オーストラリアなどはレアアースの主たる供給国だったが、中国は1988年に低価格を武器にこれらの国を追い抜き、米国、オーストラリアなどではレアアース鉱山の閉鎖が余儀なくされた。米国側の推計では、02~05年に、レアアース1kgを生産する環境コストは、米国で約2.8ドル、中国で約5.6ドルだが、中国のレアアースの販売価格は1kg5.5ドルだった。つまり、販売価格が環境コストの下回っている。中国側にも「レアアースの都である江西省カン州市で、レアアースによる汚染の処理に約380億元かかる。だが、レアアース価格高騰の11年に、江西省のレアアース産業の年度利益は65億元だけだった」というデータがある。

このような犠牲を払って、中国はいわゆる「世界の90%を供給する」絶対的市場シェアを手に入れ、それに依拠して、中国のレアアース供給を失ってしまうと、世界の精密工業は行き詰まるとの判断が生まれた。だがこれは事実と相違する。

レアアース代替技術の進歩はもとより、レアアースはパンダのように中国だけが保有するものではない。ひいては中国のレアアース優位性は針小棒大にされてしまう疑いがある。米地質調査所は、中国のレアアース埋蔵量は世界の36%を占めると発表したが、中国が6月に発表したレアアース白書では、実は23%だけだ。

極論を言えば、レアアースは世界市場のビジネス、貿易で、中国のレアアース規制策は、他国のレアアース鉱山の採掘再開を促す。米国の鉱山会社モリコープは10月に、10年ぶりにカリフォルニアにあるマウンテンパス鉱山の採掘を再開した。採掘再開を図る国は米国に限らず、オーストラリア、カナダ、マレーシアなどもある。つまり、「中国だけの供給」というレアアース供給構図には変化が出始めている。10年先のレアアース需要は今の2倍以上の25万トン近くで、世界各地の既存鉱山の採掘再開および新規鉱山の開発に伴い、14~19年に、レアアース供給の伸びは需要の伸びを追い越すと見られる。  事実、日本の中国レアアース依存度も大幅かつ速やかに下がっている。今年上期に、中国からのレアメタル輸入は3007トンで49.3%を占めるが、2000年から初めて50%以下に減少した。日本の中国のレアアース依存度も今年は70%に下がり、13年はさらに50%に落ちる見込みだ。

日本は、オーストラリア、カザフスタン、インド、ベトナムなどで約1万6500トン規模のレアアース資源を確保しており、これらの国からの対日輸出は13年に始まる見通しだ。マレーシアの対日レアアース販売会社は09年に5社だけだったが、今は200社以上に増えた。

レアアース問題において、中国は「武器」ではなく、「ビジネス」で構えるべきだ。「ビジネス」の立場に立って、世界市場で、市場法則に従い、利益の最大化を追求すべきだ。「武器」にすれば、各国の抵抗、訴訟に遭うことを免れない。                                                   YAHOOニュース より抜粋