2012年10月

中国、レアアース輸出最低 日本の需要急減

中国が戦略資源と位置付けているレアアース(希土類)の輸出量が、今年は1万トン前後と過去10年で最低水準に落ち込み、輸出許可枠の約3万1千トンを大きく下回る見通しとなった。業界関係者が24日明らかにした。最大の輸出先である日本の需要が急減したためで、レアアースを外交カードとして使ってきた中国は資源戦略の転換を迫られそうだ。

レアアースはスマートフォン(多機能携帯電話)などハイテク製品の製造に欠かせない材料だが、日本向けが2011年に前年比で34%減少し、今年はさらに下がる見込みとなった。

10年9月の沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を受け、中国当局が事実上の対日輸出規制を行ったことを教訓に、日本企業はレアアースが不要な製造技術やリサイクル技術を相次いで開発。調達先もオーストラリアなどに拡大し、対中依存度を急速に引き下げた。

中国は世界レアアース市場の90%以上を占めてきた。

中国税関統計によれば今年1~6月のレアアース輸出量は4908トンと前年同期比42・7%の減少。通年では「1万トンをやや下回る可能性」(業界関係者)も指摘されている。通年輸出量は02年の5万9千トンから03年に7万4千トンに増えたのをピークに減少。日本への対抗措置が響いて、11年には前年実績の半分以下の1万8千トンにとどまった。

また、一部のレアアースは供給過多となり、販売価格が半年で3分の1程度に下落したケースもある。中国では日本政府による先月の尖閣国有化への対抗措置として対日輸出規制も議論されたが、実際にはトラブルは報告されていない。

一方、世界貿易機関(WTO)は8月、日米欧からの提訴を受けて中国のレアアース輸出規制問題の調査を始めることを決定している。                                                   YAHOOニュース より抜粋

日本が脱レアアース化、関連技術の開発を推進―中国メディア

2012年10月22日、レアアース価格の高騰に対応し、中国産レアアースに対する依存から脱却するため、日本自動車メーカーは代替技術の開発を推進している。「脱中国産レアアース」革命が現在進行中だ。科技日報が伝えた。

レアアースの応用に関して、日本は優れた技術と計画を持っている。レアアースは自動車、自動車用モーター、磁石の生産にとって、非常に重要な原材料だ。そのため、これらを生産する際のレアアース使用を減少させることが、日本企業にとって最大の課題となっている。日本政府と各大手企業は現在、関連技術の開発を強化しており、「脱レアアース化」を目指している。

日本電産はレアアースを使わない次世代モーター「SRモーター」の量産化を宣言した。レアアース価格の高騰に対応するため、同社は代替技術により自動車市場の開拓を加速する。

信越化学工業は新たな加工技術により、モーター用高性能磁石に使用するジスプロシウムを大幅に減少させるとした。新たな加工技術の導入後、来年春までにエアコン用の磁石を、ジスプロシウムの使用量を半減させた製品に全面的に取り替える。

東芝はレアアースを使用しない強力磁石を開発したと発表した。同社は同製品を、列車およびハイブリッドカーのモーターに使用する予定だ。同社はその他の磁石についても独自の熱処理などの加工を行い、ネオジム磁石と同等の磁力を実現する。

TDKはレアアースを使用しないフェライト磁石を開発した。新たなフェライト磁石は自動車の電動シート、パワーウインドー、電動ミラーなどの中小型モーター、エアコンや洗濯機などの白物家電に使用が可能だ。

レアアースの使用を減らす一方で、日本はレアアース回収技術の研究にも取り組んでいる。パナソニックは兵庫県の工場で、今年2月より新たな設備を導入した。同設備は廃棄された家電からネオジム磁石を回収することが可能だ。これらの磁石はエアコンのコンプレッサや洗濯機のモーターに用いられる。

三菱マテリアルは2015年より、ハイブリッドカーからレアアース磁石を回収する事業を開始する。同社はHondaグループと提携し、廃棄されたハイブリッドカーから磁石を回収するシステムを構築する。

日本企業の技術革新は経済産業省から力強い支援を受けており、レアアースを使用しない部品技術、廃棄家電からレアアースを回収する技術は研究開発経費を支給される。経済産業省は支援策により、中国産レアアースのジスプロシウムに対する依存度を2年後に半減させることを目標としている。同計画は前年度の第3次補正予算に盛り込まれた。今年2月には初となる支援策が実施され、今後さらに支援範囲が拡大され、「脱レアアース化」、「レアアース節約」の動きを加速すると見られる。                                                   YAHOOニュース より抜粋

中国包鋼希土、レアアースの一部生産を1ヶ月間停止へ

レアアース(希土類)価格が急落するなか、中国最大のレアアース生産企業である包鋼稀土高科技<600111.SS>は23日、価格を安定させるため一部生産を1カ月間停止することを明らかにした。

上海証券取引所に提出した文書で「景気減速に伴い年後半にレアアース需要が減退しており、持続的な価格下落を引き起こしている」とした上で「市場の安定と需給バランスに向け、10月23日から一定部門における製錬・分離作業を停止する」と述べた。

世界的な需要減退を背景に、主要レアアース17品目の中国国内価格は年初以降50%程度急落。包鋼稀土の第3・四半期決算は純利益が約9割落ち込んだ。                                                   YAHOOニュース より抜粋

<レアアース>中国規制せず…日本の調達先分散で効果薄れ

家電製品やエコカーなどの素材として重要な資源である「レアアース」。日本への最大の供給元の中国は、10年の沖縄県・尖閣諸島沖漁船衝突事件で、対抗措置として対日輸出を規制したが、今回はレアアースというカードを切っていない。中国は00年代に世界の供給量の大半を握っていたが、大口需要家の日本企業などが代替品の開発や調達先の分散を進めた結果、需給バランスが変化し、輸出が減少したことが背景にある。今後の中国の対応が注目される。

  ◇尖閣対応、2年前と変化

日本はレアアースの調達先の多様化を進めた結果、中国への依存度は確実に低下している。輸入に占める中国産の割合は10年に8割超だったが、今年1~6月は5割を切った。代替品の活用などで全体の輸入量も減っており、今年1~6月は一昨年の半分以下。中国の輸出規制で昨年夏に急騰した価格も、今年夏にはピークから7割程度低下した。

日本の残る課題はレアアースの中でも希少性が高い「重希土類」と呼ばれる分野の確保だ。なかでもハイブリッド車(HV)などに使われる「ジスプロシウム」は今も圧倒的に生産量の多い中国産に9割超を頼る。ジスプロシウムについても住友商事がカザフスタンでウラン採掘の残存物から回収する事業に着手したほか、三菱マテリアルがHVの廃車からの回収を始める方針だが、本格的な調達には時間がかかりそうだ。

一方、中国政府は8月22日、レアアースの輸出枠を前年比約2・7%増やすと発表した。しかし中国メディアによると、11年の輸出実績は輸出枠の6割程度にとどまる。今年1~6月も前年同期比で約4割減少しており、実際には輸出枠に余裕がある。日米と欧州連合(EU)が今年6月、中国がレアアースに輸出枠を設定するのは世界貿易機関(WTO)協定に違反しているとして、中国をWTOに提訴しており、輸出枠拡大はこれらの国際的な批判をかわす狙いがあると見られている。

さらに中国政府はレアアース業界の管理強化を進めている。今年4月に業界団体を設立したほか、8月6日には採掘・精錬事業への参入規制を発表。資本規模などをクリアできない約3分の1の採掘企業と、約半分の精錬企業が整理される見込みだ。また、9月13日には、レアアースの試掘権・採掘権リストを公表。採掘権の発行数を113件から67件に大幅に減らした。採掘・精錬を大手企業に集約することで政府が生産量を調整し、戦略物資としてレアアースをコントロールする考えのようだ。

  ◇レアアース(希土類)◇

流通量が少ないレアメタル(希少金属)の一種で、ジスプロシウムやネオジムなど性質の近い17種類の金属元素の総称。日本企業が技術的優位性を持つハイテク製品に多用している。世界の広範囲に分布する「軽希土類」と偏在性の高い「重希土類」に大別される。軽希土類は研磨剤や触媒、蛍光体などに使われ、各地で開発が進めば供給源の多様化につながるとされる。だがハイブリッド車のモーターなどの高性能磁石に使用する重希土類は偏在性が高く、現時点で十分に生産できる量が確認されているのは中国だけ。日本政府は中国の輸出規制を懸念し、代替素材開発を進める企業などに補助金を交付するなど使用量削減に向けた動きを加速させている。                                                   YAHOOニュース より抜粋