磁石ができるまでの工程How to Make
磁石は種類によって若干工程に差がありますが、粉砕・成形・焼結・加工・着磁といった課程を経て製造されます。 ここでは異方性フェライト磁石の製造工程を例に、磁石ができるまでを順を追ってご紹介します。
異方性フェライトの製造工程
1混合
まず、混合する材料の重量を正確に量ります。
秤量後、原料を十分に接触させ科学反応を起こしやすくするために混合します。2仮焼成
フェライト化反応を若干進めた後、仮焼成を行います。
これは、後に行う「焼結」時の焼き縮みを容易に制御することと、加熱した際のガスの発生を防ぐ目的を持っています。-
3粉砕
仮焼成後、硬い固まりになったフェライトを細かく粉砕し、粉末にします。
そうすることで表面積を大きくし、また反応性、焼結性を向上させるのです。
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4成形
粉砕後のフェライトは余りにも微細なため、造粒と呼ばれる行程において、粘結剤や潤滑剤を混入し0.1~0.5mm程度の大きさにされます。
その後、型に入れられ高い圧力をかけて成形します。 -
5焼結
成形されたフェライトを、高温の炉で焼結します。 -
6加工
磁石製品となるべく仕上げ加工を施します。
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7着磁
着磁を施す前の磁石は石ころと変わりません。
着磁、つまり強い磁界をかけることで、フェライトを永久磁石にするのです。
希土類磁石の製造工程
希土類磁石の製法はフェライト磁石のような粉末冶金的な焼結法です。ただし、酸化しやすい面を持つため、各工程に防止策が必要です。1原料の混合
混合する材料を秤量します。
ネオジム磁石の原材料
ネオジム(Ne)
鉄(Fe)
ボロン(B)
サマリムコバルトの原材料
サマリム(sm)
コバルト(Co)
パラセオジム(Pr)
鉄(Fe)
すず(Sn)2溶解
均質に合金化するため真空溶解炉で合金化され、鋳型に流し込みインゴット製作します。-
3粉砕
インゴットを粉砕し粉塵となります。
微粉の酸化を防ぐため雰囲気ガスとしてアルゴンや窒素を用います。
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4磁場中形成
磁場をかけ、粒子の向きをそろえ、金型の中でプレス形成します。
磁場をそろえることにより、磁気特性が高くなります。 -
5焼結・時効処理
真空焼却炉の中で焼結、熱処理をします。
焼結隊の各寸法は圧粉体の70%~80%、体積は約50%に収縮します。 -
6機械加工
切断加工・研削・研磨の工程を経てオーダー寸法に仕上げていきます。
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7表面加工
ネオジム磁石
耐食性が悪いのでニッケル(Ni)メッキやフッ素などの表面加工を施します。サマリムコバルト磁石
耐食性が良いため通常は表面処理は行われません。 -
8サイズ確認と外観検査
機械加工・表面処理の終わった製品のサイズ確認や割れ欠けがないか検査します。 -
9着磁
磁石製品となるべく仕上げ加工を施します。
秤量(ひょうりょう)・・・はかりにかけて、重量をはかること。
雰囲気ガスとは・・・特定の化学反応が空気の影響を受けてしまうときに、空気を遮断するため反応装置の中を他の気体で置き換えることがあります。この時に使うガスを雰囲気ガスといいます。
時効処理とは・・・溶体化処理によって得られた材料は不安定で時間の経過とともに硬化していきます。この現象のことを時効といいます。
※常温での時効を自然時効といい、加熱によって進める時効を人工時効といいます。
※金属の特性が時効経過に従って、人間にとって良い方向に変化することは”時効”と呼ばれ、悪い方向に変化(劣化)する場合は”経時変化”と呼ばれています。